医者さんの検査はそんなに時間がかからなかった。
大介たちに注意事項とかを伝えて、医者さんと看護婦さんは部屋から退出した。
大したことがないと知って、大介たちも一安心。
「相変わらずダメな子だけど、雪枝以外にもお見舞いの人がきているのはでかい進歩だ」
黒河はベッドの隣に座って、思いきり悠治の頭をいじった。
その遠慮のないしぐさと口調に、大介はデジャブがあった。
「しかしね、妹とそっくりな子を彼女に選んだとは、お前のシスコンも変態級に入ったのね」
「!ち……っ」
「違います!」
悠治が口を開く前に、穂香のほうは先に否定した。
「私じゃないです!」
黒河は意外そうに振り向いた。
「そうか?勘違いしたの?」
「そ、そうです!誤解しないでください。みんなも困りますから……」
「その言い方だと、ほかに誰かがいるみたいね」
黒河に聞き返されたら、穂香は視線を大介のほうに投げた。
警察の直感と女の勘、両方も優れている黒河は秒で悟った。
「なるほど、そっちだよね。通りにこんなダメな子を雇ってくれたわね。まあ、驚くことはないわ。今の時代じゃ普通のことだし。で、結婚はどこの国?ドイツ?カナダ?」
「それもまたとんでもない勘違いだけど……」
大介の弱い否定は、全く黒河の耳に入らなかった。
悠治は数日入院することになった。
黒河の誘いで、お見舞いが終わった大介たちは四人で食事に行った。
その間、雪枝は悠治の勘違い小説のことを黒河に説明をした。
短い時間だけど、雪枝と穂香はすっかり仲良くなった。二人が共通話題で盛り上がっていて、食事の後にカラオケしに行った。
大介はそのまま仕事に戻ろうとしたら、黒河に引き留められた。
「悠治のことなんだけど――」
「さっきも言ったけど、オレじゃないんだ&hel